結婚指輪のプラチナはパラジウムとの合金ですか?

純プラチナPt1000は柔らかすぎて日常の使用には向かないので、市販のジュエリーはパラジウムとの合金で作られます。これがPt900 やハードプラチナPt850 などさまざまなプラチナ合金が開発されています。ロゼチナあるいはピンクプラチナは銅でピンクを醸し出します。その含有される金属により本来金属アレルギーにならないはずのプラチナでもかゆくなる陽性のひとがいます。パラジウムは、歯科にも保険適用で使われてきた金属ですが、ドイツをはじめ、海外では金属アレルギーの原因と特定され、回避すべき金属となっていますが、日本のジュエリーにはまだ使用され市販されている現状があります。

金属アレルギー対策

金属アレルギーや敏感肌のかたは、合金でできたジュエリーを着けるとそのなかのどの金属が悪いのか、パラジウムが悪いのかを特定するより、チタンで作る方が確実に安全です。

ジュエリー素材のイノベイター チタン

チタンは宝飾の世界を大きく変えてしまうほどの金属です。すでにコンテンポラリージュエリーの世界ではコスチュームジュエリーと呼ばれる分野が確立しています。伝統的なもの、材質自体に既存の価値があるというだけで認められ思考停止してしまうものはアートではないというコンセプトから、表現に価値を見出す現代美術のような見地からのジュエリーです。
そして指輪をはめる人が本当の価値を吹き込んでいきます。指輪は単なる金属の材質ではありません。その指輪とともに過ごす時間が刻まれていきます。指輪が誕生したては単なる金属の輪っかですが、着けるひとによってスタートし、時間が組み込まれていくものです。ユーザーと成長し、どんどん価値が成長していくもの、それが結婚指輪です。

医療の現場で使われない貴金属VS使われるチタン

命にかかわる大切な脊椎の自家骨移植にはチタンケージが使われます。命を救う大切なパーツと成り得る金属としてチタンは医療に欠かせません。人体に真に有用な金属であれば、金でもプラチナでも手術に使われることがあっても良いはずです。現にかつては歯科で金銀が多く使われていました。現在はなるべく使わない方向にシフトしています。プラチナイオンが抗がん剤には使われていますが、金属そのもののプラチナが医療器具として寄与しているところはありません。白金はコストパフォーマンスの面からも力学的にも重量の点で劣るため、プラチナは使われません。

金属の価値とは

スクラップになった時の換金価値はプラチナの価値は周知の事実ですが、耐久性の面でプラチナはチタンの強度に及びません。化学的に貴であるのは金、プラチナと同等の安定な金属なのがチタンです。生体親和性から見てもチタンが優れます。化学的見地からも力学的にも物理的にも結婚指輪としてもチタンは有用でありながら、近年開発が始まったため、まだ結婚指輪の素材として広く知れ渡ってはいませんが、プラチナをしのぐコストパフォーマンスからも実用面からも、着け心地からみてもチタンを選ぶ人が徐々に増えてくると思われます。

安全な金属への変遷

彫とカラーの装飾のチタンリング

チタンで出来た結婚指輪はまだ20年前にはなかった素材ですので比較できないのが残念ですが、結婚から20年以上経ったお母さんたち60人からの聞き取り調査を実施したところ、むかし主流だったごつめのプラチナのマリッジリングを選んで着けていた女性たちは現在ではもう結婚指輪を着けていません。理由は重量です。ふと、はずしたときの軽快な解放感がそれっきり着けなくなってしまった理由です。重たい結婚指輪は指の動作のカセになってしまうのでしょう。家事にも負担になりますし、傷付きやすいため、重量のあるプラチナの結婚指輪をはずさないといけないシーンが多くあるということです。

プラチナを選ぶかチタンを選ぶか、タンタルを選ぶかステンレスを選ぶか。値段の高い金属、高級とされる金属とチープな金属といった表現をするブライダル広告やワンランク上の自分になるといったファッション誌の広告を目にしたことがありますが、人並みから劣っていない証明を世間の人から承認されるために高い値段の指輪を買うのではありません。物性の高さ、耐久性の高さで金属が選ばれています。そして、どういう選択の結果に対して社会から承認される日がきます。